下着一枚で寝息を立てる矢島は、呼吸が深い。寝入っているのか、斉藤が動いてもその寝息が乱れることがなかった。
かなりしつこく抱いたため、呼び出しという邪魔が入らなければ朝まで目が覚めることはないだろう。後処理を拒絶することも出来ず、斉藤のなすがまま身を委ねていた。中から掻き出す指の動きに小さく喘ぎ、無理だと懇願を繰り返す唇に齧り付き。
くたりと預けられる体重を心地よく感じながら二人分の身体を清め、ここに戻ってきてすぐに矢島は寝落ちた。
その隣で煙草に火をつける。左腕を伸ばして矢島の髪に触れると、濡れたままのそこはかなり冷たくなっていた。簡単に風邪をひくほど柔ではないだろうが、念のため冷房の温度をひとつ上げる。
紫煙を吐き出しながら、短い黒髪を手持ち無沙汰に弄っていると邪魔になったのか、斉藤の指が握られた。どうするのかと見ていると、握ったまま動かなくなった。
「――……」
斉藤の指を握ったまま寝る矢島に、腹の奥から言葉に出来ない感情が湧き上がってきた。無意識、無自覚の行動。斉藤の気配を拒絶しないという現実。
触れている指先は温かい。
つい先程まで、これ以上に深い場所で繋がっていたというのに、この小さな繋がりで満たされる気持ちがあることを知った。
普段からこんな中学生のような触れ合いをする気などさらさらないが、今、この時間だけならば、楽しむのが最善だろう。
繋がった指の感触をそのままに、フィルターを焼きニコチンを体内に入れていく。
あと数時間後には、また面倒な連中に囲まれて失敗は許されない仕事だ。矢島を抱いて満たされたとはいえ、離れたらすぐにまた欲しくなる。
まるで中毒のようだ、と自嘲しながら灰皿に吸い殻を押し付け火種を潰した。
左の指は繋いだまま、右腕で矢島の身体引き寄せ二人の上に上掛けをかける。
繋がれた指の分、いつもより距離はあれど、起きた時の反応の楽しみがその距離を良しとさせた。
きっと楽しいことになると思いながら、瞼を閉ざした。
褥に包まれる