酔っ払った神谷は、いつも以上に積極的になる。
元々梶とは違って、セックスに関しては奔放であり経験値もそれ故に高い。その経験値によって好き勝手される時が多いのだが、梶がそれを嫌っていることを神谷も知っているために最近では、最初の頃のように判りやすい挑発や行動はしてこない。
だが、酒が入るとその箍が外れるのか、本日の神谷はまるであの二回目の時のようだった。
「神谷、おい」
梶の制止を無視して、神谷は梶の腹の上に体重をかけた上で、背を向ける形で座った。背中しかみえない状態で、次に何をされるのかと警戒していると、服を緩められまだ反応していない陰茎が引き出された。片手でそれを弄びながら振り返ってローションを手に取る。
「神谷」
「気持ちよくしてやるから大人しくしてろよ」
視線を合わせて笑う神谷は、眼鏡を外して梶の顔の上に置く。それを避けている間に神谷は体勢を戻して、ローションを垂らしてきた。そのまま上下に擦り、育てていく。
ぐ、と先端を露出させた後、爪で軽く引っ掻かれ腰が浮く。それを慰めるように左手が下生えをさりさりと撫でてきた。くすぐったさともどかしさが襲ってくるが、神谷は焦らすように人差し指で絵を描くように指を動かした。
指先で裏側の血管を軽く潰しながら握り、陰嚢を転がす。すぐに硬くなったそこを神谷はずっと手放さず、同時に腰を浮かして下着ごとスウェットから片足を抜いた。
「……」
そのままどうするのか、先は見えているものの静観しているのは、酔っぱらい相手だからだ。文字通り急所を握られている最中に、下手なことをして大変な事態になりたくはない。
神谷は一度梶の陰茎から手を離して、ローションを自分の掌に落としながら少しだけ腰を上げた。まるで――いや、確実に梶を挑発するように。そのままローションで濡れた指で、会陰から尻の穴へとゆっくりと往復させる。梶がじっと見ていることなど判った上での所業、遠慮せずに見続けた。
口の部分にローションを塗り込み、マッサージするようにくにくにと肉を動かした後、人差し指からゆっくりと挿れていく。幾度も触れているから記憶している。きつい入り口とその奥の熱さ。指の腹で壁を擦るとざらりとしながらも、柔らかな感触。腹側を押すと、小さく漏れる吐息。ローションが空気と混ざってくちくちと音がする。
「デカくなったけど何考えてる?」
「――……」
神谷の顔近くにある陰茎に、ふ、と息を吹きかけられた。触れるか触れないか、という位置にある神谷の顔を梶は見ることは出来ないが、目を細めて笑っているだろうことは容易に想像出来た。
煽りなれている態度に苛つきはあるものの、それ以上に目の前の光景を無視することが出来なくて、神谷の指に添わせるように自分の指も挿入した。
「……、んっ、お触り禁止って、言っときゃよかったな」
笑みの浮かぶ声を無視して、指を奥へ差し入れ内壁を擦る。柔らかくも締め付けてくるそこに、今すぐにでも自身を突き入れて揺さぶりたい衝動を必死に殺す。狭い場所で神谷の指が、梶の指を誘導したり、拒絶したり、添わせたり。遊ぶように逃げる指を追いかけ、捕まえようとすると隣り合わせていたりする。
片手で神谷の腰を掴み、自分の方へと引き付けながら太ももの裏側に軽く歯を立てる。それに肌を粟立たせる神谷は、自分の指を増やして縁に引っ掛けるようにして左右に開いた。
「ここに梶のハメてもいいか?」
「ここで止められるほうがきついだろうが」
「それもそうか」
指を抜き、体勢を戻しながら梶の身体の上で身体を反転。久しぶりに見れた顔は、まだやはり酔っている。腕を伸ばして促せば、素直に身体を屈めてきたため、唇を合わせた。
アルコールの味に色んなものを諦め、軽く吸ってから口を離す。
「もう今日は好きにしろ」
「言われなくても好きにするけど」
何を言い出すんだ、と疑問に思っているであろう神谷の頬を撫でながらも何も言わず、身体から力を抜いた。
ちゃんぽんするほど何かがあったのだろうけれど、それを素直に言う男ではないし、踏み込みすぎて拒絶されるよりは受け入れて流されたほうがいい結果を生むと学習している。消化しきれずにいるのなら、その時初めて踏み込めばいいとそう心に決めながら、今は酔っ払いの相手が先決だと目の前の身体を撫で、神谷の中へと入って快楽を追った。
玄人仕草