するりと、手の位置を入れ替えて片桐が長谷川の手を押さえるようにした。それに驚き長谷川は腕を動かすが、元々非力で、更にさほど本気で引いていないのだから逃げられるわけもない。
「片桐、その……手を離してくれ」
そんな抵抗を気にすることなく、ローションを重なったままの二人分の手にかけるように落とす片桐に向かって、長谷川が主張しながら腕を引こうとする。その手を押さえつけて目を細めた。
「ダメです」
「な……」
二人の指の間でローションを掻き混ぜてから長谷川の指を中へと導いた。
「直幸さんはどこが一番好きなのか、教えてください」
「――っ、な、んで、いやだ片桐……っ」
外へ逃げようとする長谷川の指を、第二関節を押さえることで阻止して、さらにそのまま力を込めて奥へ入れ込んでいく。片桐の力加減で、自然と指が前後することになり、長谷川が首を振りながら左手で片桐の肩を叩いた。
その手首を捕まえてシーツに押し付けながら顔を近付け、唇を重ねる。上顎を舌で擦ると、さきほどのことを覚えている身体は軽く震えた。上と下、同時に動かしていくと、敏感な身体は力が抜けていく。
「んっ……っ、」
長谷川の指に沿わせて、片桐も人差し指を挿入する。そうしてから唇を離した。
「どこが好き?」
「……っ」
「ちなみに、今触っているところが前立腺です。ここずっと触ってると直幸さん泣いちゃうんですよね」
話しながら、指を曲げて刺激すると長谷川が息を呑む。壁に囲まれた狭い道は、指の逃げ場所などなくて、見えてないが故に自分の指なのか、片桐の指なのか判らなくなっていくのだろう。幾度か同じ動きを繰り返していると、長谷川も自ら指を動かしていることに気が付き、笑みを深くした。
「っ、ん゛……っ、あ、あ」
ぐちぐちと、わざと音が鳴るように動かすと、長谷川の声が大きくなる。そんな反応を見ながら、広げるように指を回したり出入りさせたりと動かしていると、シーツに押さえつけた左指が何かを訴えるように片桐の指を握った。
「っひ、ぁ、あっ……むり、ぃ……っ」
「何が無理なんですか?」
長谷川の口の端から流れ落ちる唾液を、舌で拭いながら問いかけると、一度息を飲んだ長谷川は、それでも再度口を開いた。
「指だと、……むり」
「え?」
「だから、指だと……けないから、い、いれ、て……しい」
顔を真っ赤にしたまま、声を消えさせながらも言い切る長谷川と、その内容に動きを止める片桐の視線が数秒絡まったままとなる。
「……? 片桐?」
「あ、いやすみません。……俺も修行が足りないなと」
「?」
まさかここまで言い切るとは、と驚き固まってしまったことを誤魔化すように顔を伏せて息を吐く。こうもストレートにねだられるというのも、悪くない。
押さえつけていた長谷川の左手を解放して、そのまま下腹を撫でる。
「ちゃんといかせたげますよ」
「……、」
息を飲みながらも小さく頷く恋人が可愛くて、たまらなくなった気持ちのまま口付けた。
誘いの結果