朝涼

067:抱

「ん」
 両腕を伸ばしてくる神谷に、何を望んでいるのかは判ったが珍しいと思ったが故に反応が遅れた。その事に少しだけ唇を尖らせ、見上げてくる神谷はどう見ても同い年には見えず、更に惚れた欲目もあって大層可愛い。
「珍しいなって思っただけだ」
「動くの面倒くさい」
「太んぞ」
「うるせえよ」
 軽口を叩きながらもリモコンで照明を暗くした後、腰を落として神谷の腕を首に回し、両膝の裏に自分の腕を差し込んだ。自分の方へと腕と神谷の身体を引き寄せながら、立ち上がると、腕と体幹に一気に負荷が来る。
「梶、お前あったかいな」
「普通だろ」
 薄暗いリビングを横切り、寝室へ。
 ゆっくりと神谷の背中を毛布に付け離れようとするが、首に絡まる腕がそれを許さない。間近にある顔が笑みを浮かべ近付いてきて重なった。
 一気に冷え込んだ昨今、触れる神谷の身体の表面は冷えている。別に血の巡りが悪いわけでもないのにこうして冷えているのは、風呂上がりに薄着だったせいだろう。
 掌をゆっくりと服の上から這わせて、梶の体温を移していく。それを拒絶することなく受け入れる神谷は、梶の指を掴んで自ら服の中へと導いた。
 指先が触れる先は、刺激で少しだけ固くなっている乳首で。唇同士を重ね吐息を交換しながら、爪で引っ掻いた。
「……っ」
 微かに息を呑みながらも、神谷は梶の指をそこに残し、もう一方に指を這わせ始める。服の中にある指は、動いていることは判っても何をしているのかが判らない。勿体なさを感じながら、摘んですりつぶすように転がす。
「っ、ふ、ぁ」
 噛み合わせがずれて、梶の耳横で神谷の声が響く。それに煽られながら指を這わせる。指先でツンと立った山を弾くと肌が跳ねる。
「ん……っ、ん、ぅ、」
 興奮からお互いの体温が上がり熱がこもっていく感覚。硬くなり始めている下半身を押し付けると、同じように返された。
 梶の首に巻き付く神谷の腕から力が抜けたところを見計らって、上半身を起こした。胸を弄る指をそのままに、逆の手で服をめくると、別の持ち主の二つの手がやっと見えた。
 自分で誘っておいて、それでも視線は気恥ずかしいのか、神谷の頬に朱が差す。だというのに、動かす指は止めないのだからそのギャップがたまらない。
「は……」
 別々の動きに神谷の呼吸が早くなる。
 目を細めそれを見ながら、逆の手で腹や臍をくすぐり、スウェットの中に忍び込ませた。熱の籠るそこを、掌でゆっくりと擦る。
「梶」
 懇願を滲ませながら、腰を軽く浮かす神谷に対して刺激を繰り返しながら、
「ん」
 と、軽く頷き本格的に伸し掛かった。

いて」「く」