「それ、どうしたんですか」
昼間、実家に呼び出されたと朝から出掛けていた長谷川が、夜に片桐の部屋に来た時持っていたものは、どこかで見たことはあるけれど、大人になってから見かけるのは珍しいものだった。長谷川がそれを手の中で転がしながら優しく笑うものだから、出処は伺い知れたが聞かずにはいられず、つい口にしてしまった。
「これか? 今日実家に行ったらリクにプレゼントして貰ったんだ。少し前に川に遊びに行って、そこで見つけたからって」
声が少し低くなったことに気付かぬ長谷川は、片桐の目の前にそれを掲げて笑う。深い青色のそれは、LEDの光を受けて表面を光らせる。
「ガラスか石なのか……キレイだからって俺にくれるっていうんだ。優しいだろ」
「……そうですね」
長谷川が甥っ子の純粋な好意、としか取っていないことは判っている。
あの甥も、どこまで区別がついているのか曖昧なところだってある。
だが、長谷川を挟んで片桐をライバル視するあの気配は、どの感情から来るものであっても本物であることには変わりなく、たちが悪い。子供だなんて言い訳が出来ないほど、あの甥は片桐をライバル視している。だからこそ片桐も、子供相手なんだからと楽観することが出来ない。
子供らしい、宝物になり得るきれいな拾い物を、大切な人に渡すというアプローチ。片桐はそんな回りくどい面倒なことはしないが、長谷川の感性としてそれを喜ぶということは判るため上手くやるなという感想になる。
「俺も小さい頃、こういうの姉と一緒に探したなーって懐かしく思ってさ」
「小さい直幸さんは見てみたいですね」
「残念ながらお前と違って、何の特徴もない子供だったよ」
石を机の上に置きながら苦笑する長谷川に、まあ確かにとビール缶を傾けながら片桐は言葉を続けた。
「俺は小さい頃から完璧でしたけど」
「すげー自信だな。少し分けてほしいくらいだ」
呆れながらも笑うその姿に、顔を近付けて軽く口付ける。唇を離すと何をされたのか理解した長谷川は、顔を赤くしながら片桐を睨みつけるが、そんな姿は可愛いだけだ。
「プレゼントなんて回りくどいこと、俺はしませんよ」
「……片桐?」
机の上に置いてある青藍に一度視線を向け、その送り主である小さなライバルを一度思い出し、すぐに頭から消す。そうしてすぐ目の前にいる恋人に意識を全集中した。
「自分に自信があるからこそ、欲しいものは手に入れる主義なんで」
「……?」
何を言っているのか、と首を傾げる長谷川に答えず、手に入れた欲しかったものにもう一度口づけた。
青藍色な石のプレゼント