いつも丁寧に神谷に触れる梶の指は、深酒をした時は少しだけ乱暴になる。とはいえ、それは神谷も同じでいつもの触れ合いに不満はないが、理性が緩んでいると物足りなさを感じるのも事実なため、その乱暴さが有り難かったりもするのだ。
丁寧に、傷つけぬように、大切に扱われることは嫌いではないけれど。
それが崩れ、理性より本能が勝った梶を見るのも同じくらいに好きなのだ。
神谷の内壁を押し上げ、出入りする熱を締め付けるとすぐ上にある梶の顔が歪む。狭くなったそこを割るように強く突きこまれ、今度は神谷が息を詰める。そうやって追い込み追い込まれの時間が好きだ。
すぐに緩やかな動きに戻る梶に腕を伸ばし、くせっ毛を指で弄ぶ。そのまま首から背中に指を這わせながら梶の身体を引き寄せる。口付けるとすぐに入り込んでくる舌が、上顎を擦っていった。その舌を噛むと、お返しのように噛み返される。そんな粘膜の戯れが、鼓膜からだけでなく触れ合った場所から身体の中に音が響く。
「――……は、ッぁ、かじ……っ」
身体の奥に残るアルコールが、理性を溶かす。それは梶も同じで、中を突く強さがいつもより乱暴で、腰を掴む指に力が入っている。自分の両腕を筋肉に触れるように梶の背中から腕を辿り手首を掴んだ。
視線が絡み合う、一瞬。梶の指から力が抜け、両手の指が梶の指と絡み合った。
膝を立て足の指でシーツを摘んで踏ん張り、腰を軽く浮かすと身体に力が入って内部が締まる。梶が腰を揺らすと、ぐち、と濁った水音が響く。
神谷の脚が滑らぬようにと、緩やかになる動き。腿の下に梶の体温を感じるのは、支えてくれているからだろう。
「あ……んん……ッ、も、」
アルコールで緩められた理性が、身体の奥を弄られる悦を更に攫っていく。ゆったりとした動きの中、時折強く抉られると、その熱を強く締め付けてしまう。それによって梶が顔を歪めるのを見るのが好きだ。
内壁が蠕動するのに任せ、悦を甘受してそのまま飽和させた。
「ん……」
腹に流れる自分の精の感触に喉を鳴らすと、梶が指を解いてその精を拭っていく。まだ体内で存在を主張するものがあるのに今無理に動かないのは梶の優しさであり、それを物足りなく思うのは神谷勝手だ。
「体勢、つらくねえか」
だから、心配する梶に向かって挑発するように中の陰茎を締め付け、笑みを向け口を開いた。
「お前から見てつらそうなら、抱き上げてくれよ」
「……」
「うわっ」
言った途端、両腕を梶が引いて神谷の背中がベッドから浮く。その勢いのまま手が解かれて背中を支えられた。崩れた対面座位のような向かい合った形。抜けかけた熱が中に入り込んでくる感覚に、身体を震わせると、慰めるように近くなった距離の分を詰めて梶が口付けてくる。
「何怒ってんだよ」
「負担になるならやんな」
めちゃくちゃに体力があるわけでも、筋力があるわけでもないから当然負担はある。けれど、それ以上に深く繋がりたいと思っていたのも事実なわけで。
「そんなことよりも梶を感じたかったし」
「それで騙されるほど単純じゃねえぞ」
神谷の素直な言葉を素直に受け取らない梶に苦笑が漏れる。だが、身体に負荷がかかるようなことをしているのはお互い様だ。もちろん神谷のほうが負担が大きいからこそ、梶の苦言があるのだけれど。
しかし、つっこんでつっこまれてな状態で喧嘩をすることほど馬鹿なことはないので、浮かべた苦笑と共に苦言を流し、代わりに背中に腕を回して軽く爪を立てると、奥に触れるように身体が揺さぶられた。言葉がなくとも、お互いに気持ちは一緒。それが判る行いは一方的ではないと判ってほっとする。
「ふ、……ぁ、は」
上と下、粘膜に触れられると身体の中を音が反響し、梶の感覚でいっぱいになる。自ら腰を揺らし、奥へと導いていくと数センチの距離が近くなった。梶、と呼吸の隙間で名を呼ぶと、口付けで応えられた。
「近いと、神谷の匂いが強くていい」
「……」
普段なら、絶対に言わないであろうことを言う梶に面食らう。まだ酔っているのだろうか。背中に沿う腕はたしかに何時もよりも力強いけれど。
スン、と嗅がれると恥ずかしくもあるのだが、めったにない梶を制止するのは勿体ないし、からかったらもう二度とこんな梶は見えなくなると思い、息を呑んで口を噤む。そんな神谷を見た梶は、ゆるりと神谷の身体を揺らした。その穏やかな動きに梶の背中を抱き寄せ、首に懐いて身体の中を梶でいっぱいにした。
音が響く